2011-05-01から1ヶ月間の記事一覧

町の建物を用いた比喩 〜「方法序説」より

デカルトは、より良い思考を持つための方法について「町の建物」を用いた比喩を取り上げている。町の建物は、多くの人がそれぞれに建てた建物の集りである。しかし、より良い町をつくるには、ひとりの人が建物(町全体)を総合的に設計したほうが良い、と。…

高邁なる精神と相互理解

高邁なる精神(人)とは、前回分にも記したように、ものの善悪を判断する理性をもち、諸々の情念に惑わされることなく「気高い」精神の持主のことである。デカルトは、善悪を前にして様々に判断しうる存在としての、人間の「自由意志」を見出した。そのよう…

自由意志(原因)における他我

高邁なる人は「私」を尊重し、他者もまた当然、「私」と同様の状態にあることが可能だとみなす。ものの善悪を判断する理性をもち、情念に惑わされることを避ける。高邁なる人は、善も悪もなしうる自由な存在としての他者に「驚愕」する。そこにデカルトは他…

他者の観念

我々は他者の観念をどこまで明晰判明に認識しうるのか。 例えば石ころの観念を明晰判明に私の内に持ち得るには、物理学(幾何学・数学)を用いて演算的に知り得ることができる。なぜなら、デカルトによれば数学の観念は神に由来しており、すなわちそれは完全…

 他者の4つの分類

私たちの前に現れる「他者」は、ざっくり4つに分類できる。 1.対話における他者 2.視線上における他者 3.想像上の他者 4.妄想上の他者 まず1は、「対話」という行為遂行的場面において初めて現れる他者を意味する。 この場合の他者は「私」にとって予測不…